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Re:短編小説
美里
[ID:want2love]
スレ消えててびっくりしたー(○д◎)
前に一度書いた者です。お久しぶりです。
*
小指に赤いネイルを塗って、少し満足げになった。
隣で南中した太陽に照らされ、転寝をする恋人の左手をとり、その小指も真っ赤に染める。
赤い糸とか、運命の相手だとか、そういう安穏としたものが信用できなくなってしまったご時世だから。
起きたらびっくりするかなあ、勝手に塗られて怒るかなあ?
マルボロとジッポを片手にとって、日当たりのいいベランダの外に出た。
窓を開けた音で目が覚めたらしい。一歩外に出た瞬間、声で制された。
「あれ、まだいたの?」
ソファーで小首をかしげる恋人はにっこり微笑んだ。その言葉も嫌味な要素は含まれているわけでもなく、本当に穏やかな人なんだなって思う。
「もう帰ったと思ってた」
お昼の主婦向けの番組を切る。目を合わせなかった一瞬で、意図を汲み取る。
繋ぐ言葉が思いつかなくて、煙草に火をつけた。
「帰るの、やめちゃった」
「キレイ」
「え?」
やっと返事を返せた、と思った途端見当違いの言葉が帰ってきて、口に煙草を運ぶ手が止まった。
「髪が凄いキラキラしてる・・・本当、もったいないくらい」
「髪だけ褒められても
「違うよ、私に・・・って、え?」
彼女は髪をかきあげようとした手をみて唖然とした。小指の悪戯に、ようやく気がついたみたいだ。
まだ長い煙草の火を消して、俺は室内に戻った。マルボロもジッポも投げ捨てて、また隣に座る。
不釣合いなんて、言わせない。苦しむときは、一緒に苦しむんだ。
「どうしたの?」
すぐに戻ってきた俺を不思議に思ったらしい。俺自身も少し不思議に思ったが。
唇を寄せて、小指を絡ませた。約束より少し大人の意味。
一番は選べないけど、愛しているんだ。
*
主人公浮気者設定(笑)
一番じゃないけど愛してる。そんな憂鬱で幸せな昼下がり。
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